『史記』項羽本紀を読んでみよう:その14

その13(http://d.hatena.ne.jp/T_S/20180829/1535468833)の続き。





章邯使人見項羽、欲約。
項羽召軍吏謀曰「糧少、欲聽其約。」軍吏皆曰「善。」
項羽乃與期洹水南殷虚上。已盟、章邯見項羽而流涕、為言趙高。項羽乃立章邯為雍王、置楚軍中。使長史欣為上將軍、將秦軍為前行。
(『史記』巻七、項羽本紀)

章邯、降伏。




その一方、項羽項羽で兵糧不足であった。まあ、章邯攻撃する時に物資捨ててるからね・・・。



項羽もこれ以上の戦闘を望まず、かくして章邯は項羽に事実上降伏する事となった。




章邯は項羽によって「雍王」に立てられた。



雍はかつて秦の都だったところなので、元々の秦の領土(関中)の王にする、という意思表示なのだろうか。




しかし、章邯自身は楚の軍の中に置かれて自分が率いた兵と引き離されたらしい。




代わりに秦を率いた長史欣というのは、昔項梁を助けたという櫟陽獄掾の司馬欣の事。



おそらくは項羽(項梁)との縁で選ばれたのだろう。





項羽がどういう権限、どういう名目で王を立てたのだろうか、というのはちょっと気になるところだ。