その４（http://d.hatena.ne.jp/T_S/20180329/1522250534）の続き。
三年春三月、赦天下徒。賜孝弟力田爵二級。諸逋租賦所振貸勿收。
秋、關内大水。
七月、虒上小女陳持弓聞大水至、走入膻城門、闌入尚方掖門、至未央宮鉤盾中。吏民驚上城。
九月、詔曰「乃者郡國被水災、流殺人民、多至千數。京師無故訛言大水至、吏民驚恐、奔走乗城。殆苛暴深刻之吏未息、元元冤失職者衆。遣諫大夫林等循行天下。」
冬十二月戊申朔、日有蝕之。夜、地震未央宮殿中。
詔曰「蓋聞天生衆民、不能相治、為之立君以統理之。君道得、則草木昆蟲咸得其所。人君不徳、謫見天地、災異婁發、以告不治。朕渉道日寡、舉錯不中、乃戊申日蝕地震、朕甚懼焉。公卿其各思朕過失、明白陳之。『女無面從、退有後言。』丞相・御史與將軍・列侯・中二千石及内郡國舉賢良方正能直言極諫之士、詣公車。朕將覽焉。」
越嶲山崩。
（『漢書』巻十、成帝紀）
建始３年。
成帝建始三年十月丁未、京師相驚、言大水至。渭水虒上小女陳持弓年九歳、走入膻城門、入未央宮尚方掖門、殿門門衛戸者莫見、至句盾禁中而覺得。
民以水相驚者、陰氣盛也。小女而入宮殿中者、下人將因女寵而居有宮室之象也。名曰持弓、有似周家檿弧之祥。易曰「弧矢之利、以威天下。」是時、帝母王太后弟鳳始為上將、秉國政、天知其後將威天下而入宮室、故象先見也。其後、王氏兄弟父子五侯秉權、至莽卒篡天下、蓋陳氏之後云。
（『漢書』巻二十七下之上、五行志下之上）
宮殿内に乱入したという女の子は、『漢書』五行志によると９歳だったという。
五行志としてはこれは外戚の王氏が幅を利かせ、最終的に王莽が簒奪を行うに至る事の予兆なのだという（この王氏は元は陳氏であった）。
予兆うんぬんはともかく、この「大水がやってくる」というデマに踊らされて人々が高いところに集まるという事件は、大衆がパニックに陥る典型例と言えそうだ。
