『漢書』元帝紀を読んでみよう:その6

その5(http://d.hatena.ne.jp/T_S/20180310/1520607765)の続き。




永光元年春正月、行幸甘泉、郊泰畤。赦雲陽徒。賜民爵一級、女子百戸牛酒、高年帛。行所過毋出租賦。
二月、詔丞相・御史舉質樸・敦厚・遜讓・有行者、光祿歳以此科第郎・從官。
三月、詔曰「五帝三王任賢使能、以登至平、而今不治者、豈斯民異哉?咎在朕之不明、亡以知賢也。是故壬人在位、而吉士雍蔽。重以周秦之弊、民漸薄俗、去禮義、觸刑法、豈不哀哉!繇此觀之、元元何辜?其赦天下、令窅精自新、各務農畝。無田者皆假之、貨種・食如貧民。賜吏六百石以上爵五大夫、勤事吏二級、為父後者民一級、女子百戸牛酒、鰥寡孤獨高年帛。」
是月雨雪、隕霜傷麥稼。秋罷。
(『漢書』巻九、元帝紀)


「質樸・敦厚・遜讓・有行」とは、この四種類の人物評価によって人材を選んだということらしい。



その後「四行」と呼ばれ*1後漢においてもこの評価によって昇進した者の記録がある。




官僚としての事務能力や部下の管理能力よりも人格的なものを重視する方向と言えるだろう。もちろん、従来の評価がすべてひっくり返ったわけではない。




イイか悪いかはともかく、漢王朝も少しずつ変わってきているのである。

*1:『漢官儀』には「四行、敦厚・質樸・遜讓・節儉」と記されていて、一部違いがあるが。