黒の袋

逼迫韓馥、竊奪其州、矯刻金玉、以為印璽、毎有所下、輒皁囊施檢、文稱詔書
【注】
漢官儀曰「凡章表皆啟封、其言密事得皁囊。」説文曰「檢、書署也。」今俗謂之排、其字從「木」。
(『後漢書』列伝巻七十三、公孫瓚伝)

後漢末の公孫瓚袁紹を糾弾した上奏文の一部分。

袁紹冀州牧の地位を奪うと、印璽を偽造し、「皁囊」すなわち黒い袋に入れて「詔書」と表示した命令を下していた、という。


注で引用されている『漢官儀』によれば、上奏文は啓封、つまり密封せず中身が見えるようにしるのが原則だったが、内容が秘密にすべきことである場合には、「皁囊」すなわち黒い袋に入れることが出来たという。


本文は詔書と称する命令文書、注は上奏文での事なので内容が一致していないのだが、共通するのは「黒い袋」だということ。


おそらく、みだりに開封し中を見てはいけない文書(簡牘)については黒い袋に入れるというのが当時の決まりだったのだろう。