正統王朝は運転免許

王朝の正統論は運転免許のようなものだと思えばいい。

禅譲は正統王朝になる唯一の手段ではない。
免許センターで試験に合格するのだけが免許を手にする唯一の手段ではないのと同じ。
自動車学校で試験を受けている人もいる。
免停の講習を受けて免許を取り戻す人もいるし、AT限定解除の人もいる。
禅譲以外にも、放伐もあれば、諸侯によって推戴されて皇帝に選ばれる場合もあるのだ(劉邦はこれ)。


三国時代の魏が一番領土が広くて強大な国だったのに後世では正統王朝扱いされないこともあるのに、弱小国蜀漢が正統王朝扱いされることがある。

これはおかしい、と思う前にちょっと待って欲しい。
漢の前の正統王朝は公式には周であるが、周は殆どの時期において実権を失っていた。
しかし、それでも正統王朝なのだ。
一度「統一王朝」という本免許を取得してしまえば、免許取り消しまではずっと免許の効力は継続するのだ。たとえ実際にはもう統一できないペーパーエンペラーであっても。

逆に、魏は結局一度も統一王朝になったことがない。これは、仮免許は貰ったのはいいが「全土の統一」という本試験に合格できなかったようなものだ。

だから、漢王朝としてみれば既に本免許を取得していると言えないこともない蜀漢と、本免許取得に失敗したままフェードアウトした魏王朝では、どちらを正統とするかについては議論が分かれるのが当然なのだ。



いつものことだが、あまり真に受けないように。