ある兵卒の出世

平定
以卒從高祖起留、以家車吏入漢、以梟騎都尉撃項籍、得樓煩將功、用齊丞相侯。一云項涓
(『史記』巻十九、恵景間侯者年表、平定侯斉受)

前漢初期、呂后の時代に列侯となった斉受という人物は、経歴を見る限りでは兵卒から出世して都尉となり、斉王の宰相になって列侯の爵位まで賜ったという。






その最後に「一云項涓」という一文があるのだが、これはなんだろうか?*1



「ある者はこの人物は「項涓」であると言っている」ということだろうか?




これが人名なのだとすると、項羽の親族ということなのだろうか?




項羽の親族が兵卒から功績を重ねて地道に出世したという話なのだとしたら、とても面白い*2

*1:漢書』の同様の箇所では削られている。

*2:漢の高祖劉邦は項伯ら項羽の親族に「劉氏」を賜ったという。この斉受は兵卒上がりで項羽からの降伏者でもないために劉氏を与えられず、代わりに自分が丞相をしていた「斉」を氏として名乗るようになった、なんてストーリーがあったりしたかもしれない。ただの想像だが。