『漢紀』高祖皇帝紀を読んでみよう:その50

その49(https://t-s.hatenablog.com/entry/2019/01/07/000100)の続き。





六月壬辰、大赦天下。
八月、燕王臧荼反。上自將撃燕。
九月虜臧荼、立太尉盧綰為燕王。綰與上同里同日生、少相愛。後以將軍從撃項羽有功。故立為燕王。
丞相張蒼從撃臧荼有功、封北平侯。蒼明習天下圖書、善用算術。故命以列侯居相府主郡國上計也。
(『漢紀』高祖皇帝紀巻第三)

燕王臧荼、反乱して滅亡。



具体的に何があったのかよく分からないが、とにかく臧荼は一旦は劉邦に従いながら反抗し、劉邦自身の討伐を受けてあっという間に敗れた。



ちなみに、臧荼は漢の武帝の実母である王氏の曽祖父に当たる。



そして劉邦の幼馴染、盧綰が燕王になった。


縁故人事の極みとも思えるし、実際そういう面が強かったとは思うが、盧綰は劉賈と共に別動隊を率いて楚を調略した人物であり、その点では王になってもおかしくない程度の功績はあったんだろうと思われる。




また張蒼はここで「丞相」と書かれているが、彼の列伝などを見る限りでは「代王の丞相」である。しかし、この時の代王が誰なのかイマイチはっきりしない。国替えされた韓信(韓王信)かとも思うが、時期が合わない(『史記』本紀等ではこの翌年の事になっている)。もしかすると、王不在のまま王国として丞相を置いていたのかもしれない。