三国志はじめての官職:将軍その3

昨日に引き続いて将軍」について。


四征鎮安平加大將軍不開府、持節都督者、品秩第二、置參佐吏卒、幕府兵騎如常都督制、唯朝會祿賜從二品將軍之例。
(『晋書』巻二十四、職官志)

「大将軍」などの四将軍、前後左右将軍以外の「将軍」としては、「四征将軍」「四鎮将軍」「四安将軍」「四平将軍」がまず挙げられる。



これらは「征南将軍」「鎮北将軍」「安東将軍」「平西将軍」といったように方角が入り、ほとんどの場合は実際に出征・駐屯する方角の名前が与えられるようだ。



その地方に出征、あるいは駐屯する将軍に与えられたり、事実上軍閥として半ば独立状態にある者に対して朝廷が与えたりするのが通例。




征東將軍、一人。漢獻帝初平三年、馬騰居之。
征南將軍、一人。漢光武建武中、岑彭居之。
征西將軍、一人。漢光武建武中、馮異居之。
征北將軍、一人。
魚豢曰「四征、魏武帝置、秩二千石。黄初中、位次三公。漢舊諸征與偏裨雜號同。」
(『宋書』巻三十九、百官志上)


以前書いたように、これらの将軍は漢代においては他の将軍たちと同等の地位であったが、黄初中すなわち曹丕が魏の皇帝に即位してから三公に次ぐという高い地位になったのだそうだ*1




及前・後・左・右雜號將軍衆多、皆主征伐、事訖皆罷。
(『続漢書』志第二十四、百官志一、将軍)

それ以外の将軍は基本的に「雑号将軍」と呼ばれる。




「奮武将軍」などと色々と勇ましげな言葉が付いている「●●将軍」がそれである。





ただし、「度遼将軍」「輔国将軍」「輔漢将軍」「護軍将軍」など、一部は特殊な地位や特別な任務・職掌を持っていたようなので、どれもこれも全てが量産品の将軍というわけでもないことには注意。





なお、「征西大将軍」のように「大」が付く将軍もあるが、これは基本的には「大」の付かない将軍のゴージャス版みたいなもので、何も付かない「大将軍」の方が格上(というか基本的に何も付かない「大将軍」は将軍の中で最も格上)であるらしいので、これも注意。





*1:おそらく、この時に東西南北将軍の上位になったのだろう。