良史

(干宝)著晉紀、自宣帝迄于愍帝五十三年、凡二十卷、奏之。其書簡略、直而能婉、咸稱良史。
(『晋書』巻八十二、干宝伝)

東晋の干宝が著した『晋紀』は、「直」でありながら同時に「婉」でもあり、「良史」と評されたそうだ。




「婉」は「ものやわらか」「遠回し」といった意味合いのようなので、「公平でありながらも、その表現は遠回しであった」という評価なのだろうか。




つまりは、記事を捻じ曲げたりはしなかったが、不名誉なことなどは遠回しな表現にしてやるような配慮があったのだ、というところだろうか。




近い時代の史書については、こういった配慮によってギリギリの公平さを保てることが「良史」の条件だったのかもしれない(陳寿も「良史」と評されている)。