天と地から人間が生まれた

儒者論曰「天地故生人」此言妄也。
夫天地合氣、人偶自生也、猶夫婦合氣、子則自生也。夫婦合氣、非當時欲得生子、情欲動而合、合而生子矣。且夫婦不故生子、以知天地不故生人也。然則人生於天地也、猶魚之於淵、蟣虱之於人也、因氣而生、種類相産。萬物生天地之間、皆一實也。
(王充『論衡』物勢篇)

かの有名な『論衡』の王充さんいわく、「天地が意図的に人を作ったのだ」という儒者の論は間違っている、という。





人間の夫婦が子を成すのは、意図して好きな時に産めるわけではなくて、発情してドッキングし、ドッキングの結果として子が生まれてくるのであって、意図しているわけではない。



それと同じように、天と地から人間が生まれたのは、意図していたわけではなく、魚が池に現れたりシラミが人体に現れたりするのと同じで、自然発生なのである。





というのが王充さんの考えであるらしい。





当時の人間の男女の営みから考えるとそういう結論に至ったということなのだろうか。





もし王充さんがバースコントロールが発達した現代にいたら、ここの考え方は180度変わっていたのだろうなあ*1



「人間の夫婦が子を成すのは意図的な子作りの結果だから、天地が人を作ったのも意図的な人作りの結果に違いない」って。



*1:「そら現代にいたら思想は何から何まで変わってるだろ」みたいなツッコミはノーサンキュー。