『孫子』曹操注より

故用兵之法、十則圍之。
【注】
曹公曰、以十敵一則圍之、是將智勇等而兵利鈍均也。若主弱客強、不用十也。操所以倍兵圍下邳生擒呂布也。
(『孫子』謀攻篇、曹操注)


どうやら『孫子』の曹操注は意外と(?)真面目かつそっけない注釈文が多いようなのだが、ここでは珍しく曹操本人の体験談が語られている。




「十倍の兵で相手を囲む」とあるが、これは将軍の知勇や装備が同等の時のことである。もし守り手が弱く攻め手が強ければ、十倍も必要は無い。ワシが相手の二倍ぽっちの兵で呂布を囲んで生け捕りにしたのがこれである」




そこはかとなく、というか割と濃厚に自慢臭がするのが否めない。


擬態語としては「ドヤァ」が最も似合うだろう。




多分、兵法家にして実践者としての曹操にとって、「十倍必要」とされているはずの包囲攻撃を二倍程度の兵で成功させたことはつい自慢したくなるくらいの会心事だったのだろう。

将である曹操自身の優秀さの証明みたいなものだからね。


その気持ちはわからないでもない。




もちろん、曹操が思いつく事例として一番適切だった、というのもあるだろうけれど。





あと、この時の曹操呂布の兵力差が2:1であったらしいというのは何かの足しになる情報なのかもしれない。もしかしたら。