やさしい世界

魏略曰、太祖不時立太子、太子自疑。是時有高元呂者、善相人、乃呼問之、對曰「其貴乃不可言。」問「壽幾何?」元呂曰「其壽、至四十當有小苦、過是無憂也。」後無幾而立為王太子、至年四十而薨。
(『三国志』巻二、文帝紀注引『魏略』)

魏の曹丕は人相見から「口にできないほどの高貴な人相です。寿命は40歳の時に少々苦しみを受けますが、それを過ぎればもう問題ありません」と言われたという。



高貴な相という部分以外は朱建平の話に似ている。




この話からすれば、曹丕は「高貴な身になるが40歳で死ぬかもしれない」という相であったことになる。




しかし、この話が本当であれば、曹丕自身より先に曹操曹丕の人相を占わせていてもおかしくない。



そうなると、曹操は「曹丕が高貴な身になったら人相見の予言が成就して、もう一つの予言通りに早死にしてしまうのではないか」と考えたかもしれない。



その予言を妨げる方法は一つ。曹丕が高貴な身にならなければいいのだ。





・・・もしかしたら、曹操曹丕を何が何でも後継者にしたくないかのようなムーブの数々は、人相見の予言を成就させないことで曹丕の命を守ろうという、一種の親心だった・・・かもしれない。超やさしい世界。