徙戎論その6

http://d.hatena.ne.jp/T_S/20110601/1306854098の続き。

難者曰、方今關中之禍、暴兵二載、征戍之勞、老師十萬、水旱之害、荐饑累荒、疫癘之災、札瘥夭昏。凶逆既戮、悔惡初附、且款且畏、咸懷危懼、百姓愁苦、異人同慮、望寧息之有期、若枯旱之思雨露、誠宜鎮之以安豫。而子方欲作役起徒、興功造事、使疲悴之眾、徙自猜之寇、以無穀之人、遷乏食之虜、恐勢盡力屈、緒業不卒、羌戎離散、心不可一、前害未及弭、而後變復膻出矣。

こう反論する者がいます。
今の関中の禍は二年にわたる戦による消耗に災害による荒廃と疫病が重なっています。反逆者は既に滅び、残る者は改心して喜びつつも恐れており、民も苦しみを抱き、戎も中華の民も同じことを心配し、まるで日照りの時に雨露を望むかのように安らぎを求めています。
それなのにあなたは強制移住という大事業を起こし、疲弊し食料にも乏しい民を使役して猜疑心を抱く餓えた戎を移住させようというのですか?おそらくは持ちこたえることができず強制移住の大事業は失敗し、羌族たちは離反し、前の反乱の害を安んじることもできないうちから新たな変事を生み出してしまうことになるのではないでしょうか。


江統さんは自分の論に反論する者を設定する。
諸子百家の言や上奏文などでよく見られる、伝統的なパターンだ。
もちろん、そのあとで自分がそれを論破するのだ。


この反論はもっともと思える。
こっちだってヘロヘロだし、また反撃くらっちゃうんじゃね?ってのは誰だって不安になるだろう。
江統さんの自作自演論破編は次回。