蜀将王林

蜀将に王林という人物がいる。
どうやら費禕の下にいた将であったらしい。

大將軍曹爽之伐蜀也、以帝(司馬昭)為征蜀將軍、副夏侯玄出駱谷、次于興勢。蜀將王林夜襲帝營、帝堅臥不動。林退、帝謂玄曰「費禕以據險距守、進不獲戰、攻之不可、宜亟旋軍、以為後圖。」爽等引旋、禕果馳兵趣三嶺、爭險乃得過。
(『晋書』巻二、文帝紀

曹爽、夏侯玄らが蜀を攻めた際、曹爽らは蜀を守る費禕を攻めあぐねた。
そこで蜀将王林が攻めてきたが、征蜀将軍として同行していた司馬昭は動じなかった。
王林が退却すると、司馬昭は上司に当たる夏侯玄に「費禕は険阻な地形で守ってて抜けそうにないから、とっとと軍を返した方がいいっすよ」と進言した。

曹爽らが軍を返すと、費禕も兵を出していたが、なんとか通過することができた。
つまり退路を断とうとしていたようである。軍を返していなかったら包囲され孤立していたかもしれないということだ。


おそらく、王林の襲撃はそもそも陽動であり、費禕が曹爽軍の退路を断つことこそが主目的だったのだろう。

上記のエピソードは、「王林が陽動だと見抜いてたから動じない司馬文王△」「費禕の企みに気付いて難を逃れた司馬文王△」ということだと思われる。

費禕の意外に(?)抜け目ない采配も気になるところ。