姓字名

古代中国において人名を表記するとき、「姓」と「名」を連記し、それから「字○○」と「字」を書く場合が多い。

ただし、「姓」、「名」、「字」を続けて書く場合もある。

每自比於管仲・樂毅、時人莫之許也。惟博陵崔州平・潁川徐庶元直與亮友善、謂為信然。(『三国志諸葛亮伝)

更にもう一つ、こんな表記法がある。

孔子傳易於(商)瞿、瞿傳楚人馯臂子弘、弘傳江東人矯子庸疵、疵傳燕人周子家豎、豎傳淳于人光子乘羽、羽傳齊人田子莊何、何傳東武人、王子中同、同傳菑川人楊何。何元朔中以治易為漢中大夫。
(『史記』仲尼弟子列伝)

かの孔丘先生は易経を商瞿という人物に伝えた。
商瞿は楚人の馯弘、字は臂子という人物に伝えた。
馯弘は江東の人の矯疵、字は子庸という人物に伝えた。
矯疵は燕人の周豎、字は子家という人物に伝えた。
周豎は淳于の人の光羽、字は子乘という人物に伝えた。
光羽は斉人の田何、字は子荘という人物に伝えた。
田何は菑川の人の楊何に伝えた。

ここでは各人の名前を「姓」、「字」、「名」の順で連記している。
「姓」「名」の順で連記されると、二字姓や二字名の場合どこで切るのか分からないことがあるので、この表記法が結構合理的だったのかもしれない。