於菟2

「於菟」=「虎」について。

其西則商中、數十里虎圈。
【注】
如淳曰、商中、商庭也。師古曰、商、金也。於序在秋、故謂西方之庭為商庭、言廣數十里。於菟亦西方之獸、故於此置其圈也。
(『漢書』郊祀志下)

ここの注で顔師古先生は本文の「虎圈」に対する注釈として「於菟」という単語を使っている。

もちろん「虎」=「於菟」であるから間違いではないが、何故顔師古先生はわざわざ「於菟」を使ったのか。彼は周代の楚人ではなく唐の人間である。


それは、「虎」は唐の高祖李淵の祖父の諱であり、唐王朝では李淵の「淵」などと同様に避諱の対象だったからである。

「虎賁」なら「武賁」というように「虎」を使わないよう書き改められていたりするのだが、動物のトラそのものとして「虎」が使われている場合には経典に基づき「於菟」と書き換えていたようだ。