三河太守

為河內太守、以宗室不宜典三河、徙守五原。
(『漢書』劉歆伝)

前漢において、宗室つまり皇帝の血族である劉氏には労役免除の特権などが与えられ、特権階級として保護されていた。

ただ、その一方で一歩間違えれば皇帝の座を争うライバルになりかねない宗室に対しては他の氏には見られない制限もあったらしい。

上はその一つで、宗室は三河太守(河南、河内、河東)にはなれなかったという。


この三郡は前漢においては刺史に属さない首都圏と同等の特別区であり、関中と関東を結ぶ結節点として、また洛陽などの大都市を含む人口密集地として、中央政府にとって極めて重要であると思われる。こういった場所には劉氏を置かない、というのは前漢の支配体制を考える上で興味深い。