その１１（https://t-s.hatenablog.com/entry/2019/08/24/000100）の続き。
夏、帝將伐蜀、乃謀衆曰「自定壽春已來、息役六年、治兵繕甲、以擬二虜。略計取呉、作戰船、通水道、當用千餘萬功、此十萬人百數十日事也。又南土下溼、必生疾疫。今宜先取蜀、三年之後、因巴蜀順流之勢、水陸並進、此滅虞定虢、吞韓并魏之勢也。計蜀戰士九萬、居守成都及備他郡不下四萬、然則餘衆不過五萬。今絆姜維於沓中、使不得東顧、直指駱谷、出其空虚之地、以襲漢中。彼若嬰城守險、兵勢必散、首尾離絶。舉大衆以屠城、散鋭卒以略野、劍閣不暇守險、關頭不能自存。以劉禪之闇、而邊城外破、士女内震、其亡可知也。」
征西將軍鄧艾以為未有釁、屢陳異議。帝患之、使主簿師纂為艾司馬以喻之、艾乃奉命。於是徴四方之兵十八萬、使鄧艾自狄道攻姜維於沓中、雍州剌史諸葛緒自祁山軍于武街、絶維歸路、鎮西將軍鍾會帥前將軍李輔・征蜀護軍胡烈等自駱谷襲漢中。
秋八月、軍發洛陽、大賚將士、陳師誓衆。
將軍鄧敦謂蜀未可討、帝斬以徇。
（『晋書』巻二、文帝紀）
呉を破るには船とか揃えないといけないから簡単には出来ない、だから蜀漢、だそうだ。
中原側は建安中期以降ずっと船不足のようだ。理由は知らん。
都督隴右諸軍事つまり隴西方面の責任者鄧艾は反対だったようだが、司馬昭は自分の部下を派遣して説得した。まあ、従わざるを得なかったのだろう。
蜀漢で最も警戒すべき姜維は鄧艾と雍州剌史諸葛緒によって挟み撃ちし、その間に鍾会が漢中を攻め取るという作戦。
文王以蜀大將姜維屢擾邊陲、料蜀國小民疲、資力單竭、欲大舉圖蜀。惟（鍾）會亦以為蜀可取、豫共籌度地形、考論事勢。
景元三年冬、以會為鎮西將軍・假節都督關中諸軍事。文王勅青・徐・兗・豫・荊・揚諸州、並使作船、又令唐咨作浮海大船、外為將伐呉者。
（『三国志』巻二十八、鍾会伝）
鍾会は蜀漢攻めの数少ない賛同者（というよりは主導的立場だったと見るべきか）。
蜀漢攻めに際しては、敢えて船を造らせて呉を攻めるかのように見せかけた。呉が蜀漢救援に動けなくさせると共に、蜀漢の目を誤魔化すという目的もあったのではなかろうか。
また、一度作った船はいずれ行われるであろう呉攻めで使えるわけだから、長期的に見れば損は無いのである。
そして大軍が出発。
