家畜人

嘗坐客、遣蒼頭市酒、迂久、大醉而還。客不堪之、罵曰「畜産。」(劉)𥶡須臾遣人視奴、疑必自殺。顧左右曰「此人也、罵言畜産、辱孰甚焉!故吾懼其死也。」
(『後漢書』列伝第十五、劉寛伝)


昨日も取り上げた後漢の劉寛。



宴会の時、彼の客人が奴婢に酒を買いに行かせたが、その奴婢はあろうことか時間がかかった上に自分が酒を飲んで酔って帰ってきた。




激怒した客はその奴婢を「この家畜野郎が!」と怒鳴ったという。





それを聞いていた劉寛は、後から人をやってその奴婢を見守らせた。




「彼もまた人ではないか。それを家畜扱いとはこれ以上ない侮辱である。最大の侮辱を受けた彼は自殺してしまうのではないかと恐れている」


劉寛はそう言ったという。






奴婢には奴婢になったばかりの元自由民というのもあったはずなので、そんな経歴の人間だとしたらそういう罵倒に心が耐えられないというのはあったのかもしれない*1




そして、今も昔も「この豚野郎」というのは最大級の侮辱なのだなあ。



*1:もっとも、劉寛がくそまじめで心配性なだけで、この程度の罵倒はよくあったことという可能性もあるが。