漱石誕生秘話

あの「夏目漱石」と最近畜生呼ばわりされることが多くなってきたあの畜生との関係。



孫子荊年少時欲隠、語王武子「當枕石漱流」、誤曰「漱石枕流」。王曰「流可枕、石可漱乎?」孫曰「所以枕流、欲洗其耳。所以漱石、欲礪其齒」。
(『世説新語』排調第二十五)


西晋の孫楚は、若い頃に同郷の友人王済に対して隠遁生活をしたいという夢を語ったことがあるという。



まあ、彼らは高官の子弟(孫楚は魏の孫資の孫、王済は昨日言ったように畜生の玄孫)なので、「親によって決められたレールの上を走るような人生なんかごめんだ」みたいな尖った時代があったということだろう。




しかし孫楚一生の不覚。



「そこいらの石を枕にし、川を流れる水で歯磨きするような生活をするんだ」と言うべきところを、「川を流れる水を枕にし、そこいらの石で歯磨きするような生活をするんだ」と言い間違えてしまったのだ!





もちろんあの畜生の一族である王済がそれを見逃すはずもない。



「水を枕にすることは出来ないことも無いにしても、石で歯磨きというのはちと無理ぞなもし」


とドヤ顔で指摘してきた。




しかし孫楚もなかなかの負けず嫌いのよう。




「石は歯をヤスリがけするためぞなもし」と言い返したのだという。







有名なエピソードである。





王済の意地の悪い問いがなければ「夏目漱石」はこの世に存在しなかったということだ。



つまりその先祖であるあの畜生がいなければ「夏目漱石」は存在しなかったということなんだよ!!!