『史記』項羽本紀を読んでみよう:その31

その30(http://d.hatena.ne.jp/T_S/20180919/1537282998)の続き。





漢將紀信説漢王曰「事已急矣。請為王誑楚為王、王可以輭出。」於是漢王夜出女子滎陽東門被甲二千人、楚兵四面撃之。紀信乗黄屋車、傅左纛、曰「城中食盡、漢王降。」楚軍皆呼萬歳。漢王亦與數十騎從城西門出、走成皋。
項王見紀信、問「漢王安在?」曰「漢王已出矣。」項王燒殺紀信。
漢王使御史大夫周苛・樅公・魏豹守滎陽。周苛・樅公謀曰「反國之王、難與守城。」乃共殺魏豹。楚下滎陽城、生得周苛。項王謂周苛曰「為我將、我以公為上將軍、封三萬戸。」周苛罵曰「若不趣降漢、漢今虜若、若非漢敵也。」項王怒、烹周苛、井殺樅公。
(『史記』巻七、項羽本紀)

滎陽で追い詰められつつあった劉邦。その部下の紀信が自ら囮となって劉邦を逃がし、騙された項羽は紀信を焼き殺す。



注目を集めるためか女性を楚兵の攻撃に晒す畜生加減。




また、劉邦が後に残していった周苛は御史大夫。九卿より上、丞相の下という高官である。



そのためか項羽も厚遇を約束して降伏を促すが周苛は取り合わない。



項羽は怒って彼をグツグツ煮て殺してしまったそうな。





項羽劉邦もどっちもやる事がエグイが、それにしてもしばしば人格面の問題を指摘される劉邦に命を惜しまない忠臣が何度も現れるのはちょっと面白い。




とにかく、劉邦は辛くも項羽に捕らえられるのを避ける事が出来た。