デキるビジネスマンのための中国古典その3

さて、デキるビジネスマンとは所属する組織のために働くものである。
これは当然の事である。


その一方で、デキるビジネスマンというものは自分で考え自分で動く、独立した存在でなければならない。
それができないのは会社の歯車から脱することはできないのではないだろうか。



そんなビジネスマンがこんな状況に遭遇したら、いったいどうするべきだろうか。




デキるビジネスマンXは、とある大会社Aで働いておりある部門を任されていた。

そのA社はライバル企業B社と社運を賭けた大プロジェクトで火花を散らす争いを演じている。


A社は一時優勢だったが、社内秘をB社に持ち出した者が現れたり、大事な取引先についてB社に切り崩されたりするなどのB社の反撃があって社内が動揺していた。


そんな中、A社の最高責任者はデキるビジネスマンXに対し、B社を再度逆転するための計画の責任者になることを命じた。





デキるビジネスマンXとしては、こんな時は中国古典の中でも有名な『三国志』の一節を思い出すべきだろう。


(袁)紹初聞公之撃(淳于)瓊、謂長子譚曰「就彼攻瓊等、吾攻拔其營、彼固無所歸矣!」乃使張郃・高覽攻曹洪。郃等聞瓊破、遂來降。紹衆大潰、紹及譚棄軍走、渡河。
(『三国志』巻一、武帝紀)

袁紹曹操のいわゆる「官渡の戦い」において、曹操袁紹からの投降者許攸の情報により兵糧を守る淳于瓊を破った。

優勢であった袁紹はこれによって兵糧に困ることとなったが、大将不在となった本陣の方を攻めてしまえば逆転できる、と考え、張郃と高覧に本陣攻めを命じた。




そこで張郃たちは曹操側に寝返ったために袁紹の起死回生の策は実らず、敗北が決定づけられたのであった。
ある意味、張郃袁紹にトドメを刺したと言えるかもしれない。

その後、張郃曹操の元で栄達し3回死亡したことは『三国志』ファンなら皆知っていることだろう。




そう、デキるビジネスマンXとしては、この張郃のように、自分の部下もろとも独立してB社にヘッドハンティングされてしまうべきなのである。
これでB社の勝利が確定したとなれば、デキるビジネスマンXはお手柄である。



自分を高く買ってくれるところに行く。自分を高く売れる機会は見逃さない。
これぞデキるビジネスマンというものであろう。