初版の年で見るともはや少々古くなってしまった感のある新書だが、私が結構影響を受けた気がしないでもないので紹介してみる。
まあきっとこの書は有名だと思うからあまりクドく言わないが、組織論としても軍記ものとしても面白く読めると思う。
だが個人的に一番注目した点は、アメリカ海兵隊が海軍・陸軍のあぶれ者的な存在から第二次大戦時の強襲揚陸の専門家へと自ら変貌し、戦後になると世界を股にかける即応部隊へと更なる変化を遂げた、というところ。
この変貌は海兵隊自体が主導したものであったようなのだ。
時代の流れを読み、組織が自分で変化していくというのは、ある意味組織の理想像であるのだろう。
この書に触れたことは、前漢末や後漢末に皇帝を頂点としていた統治機構という組織も、時には時代を先取りし、あるいは時代にもまれつつ、自己変革をしようとしていたのだ、と考える契機だった・・・ような気がする。
その一方で、軍事組織が自己変革して新たな時代にも生き延びようとするというのは、本当にその組織を抱える国にとって幸せなことなのか、と言う点も気になった*1。
これは初見で思ったのではなく、最近になって思うようになったことだが。
*1:著者はそこを考えてほしいわけじゃなかったかもしれないが。