自決の理由

桓帝時、侍中刁存*1、年老口臭、上出雞舌香與含之。雞舌香頗小、辛螫、不敢咀咽。自嫌有過、得賜毒藥、歸舍辭決、欲就便宜。家人哀泣、不知其故。
頼寮友諸賢聞其■*2失、求視其藥、出在口香、咸嗤笑之、更為吞食、其意遂解。存鄙儒、蔽于此耳。
(応劭『漢官儀』)

後漢桓帝の時代、老人の侍中向存(刁存)は皇帝から「お口臭い」と言われ、臭い消しのために「雞舌香」を口に含むようにと命じられた。

しかしこの「雞舌香」は刺すように辛く、噛み砕き飲み込むことが出来なかった。

そこで向存は「これ毒薬だ・・・。陛下は私に死ねと言うのか・・・」と早合点し、宿舎に戻ると家族らに別れを告げた。


しかし理由が分からない家族は同僚などからこの件の真相を聞きだし、向存が与えられた薬を見てみたところ、その「雞舌香」であったので、皆で大笑いしたという。



危うくお口臭いが原因で自殺するところだったというお話。

これは侍中が皇帝にとって物理的に極めて近いところにいたという前提があって初めて成立する話。


*1:向存とも伝わる。

*2:この字出せない。面倒なので各自調べてください。