人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいと思わんかね

前漢の蘇武といえば19年間匈奴に抑留されても節を曲げなかった人物として有名であるが、もう一つ興味深いことを体験している。

單于使衛律召(蘇)武受辭、武謂(常)惠等「屈節辱命、雖生、何面目以歸漢!」引佩刀自刺。衛律驚、自抱持武、馳召毉。鑿地為坎、置熅火、覆武其上、蹈其背以出血。武氣絶、半日復息。
(『漢書』巻五十四、蘇武伝)

匈奴単于の元で事件に巻き込まれた蘇武、単于に捕まり取り調べを受けるという段になって、「主君の命を辱めることとなってしまった!生きて漢に帰るなど面目が無いわ!!」と言い出して佩刀で自殺を図った。
当然致命傷となる場所を刺したのだから、おそらく首だろう。


首を刀で刺したら、ちょっと調子の悪い人なら確実に死ぬ。
蘇武も例外ではない。


だが、漢人だが匈奴単于の寵臣となっていた衛律なる男は通りすがりの天才外科医に彼の手術を頼んだ。


「フフフ・・・この手術代は高くつきますぜ・・・」
みたいなやりとりがあったであろうことは容易に想像できる。



その手術内容は以下の通り。

  1. 地面に穴を掘って、その穴に火をくべる。
  2. その穴の上に蘇武をうつぶせに置き、弱火であぶる。
  3. 蘇武の背中を足で踏みつけ、蘇武から血を出させる。


不思議なことに、蘇武はこれでよみがえった。

なんだこの治療法。この天才外科医は未来からやってきたのだろうか?





その後、蘇武は通りすがりの天才外科医への手術代を支払うために19年間もの間匈奴の中で強制労働に従事することとなり、また一方で彼が死の淵からよみがえった事実が広まると、彼の姓「蘇」が「よみがえる」の意味を持つようになったのである[要出典]。