蘇武の子

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昨日の記事について、ちょっと面白い指摘をいただいたので紹介しておく。



人及鳥生子曰乳、獣曰産。
(『説文解字』)

なんでも、人や鳥が子供を成す時は「乳」、獣が子供を成す時は「産」という語で表す、と『説文解字』では言っているそうだ。




という事は、だ。


匈奴以為神、乃徙武北海上無人處、使牧羝、羝乳乃得歸
(『漢書』巻五十四、蘇武伝)

蘇武に対して匈奴は「羝乃得歸」と言っているが、これは先の『説文解字』の解釈に従えば「雄の羊がに人間の子を産んだら帰してやる」になるではないか。


羊を産むなら「産」の字を使うのでは、という事だ。





蘇武以外に人がいない場所に連れて来られているのだから、雄羊に受胎させる可能性のある人間は蘇武しかいない。



つまり、匈奴は「雄の羊がお前の子供を産んだら漢に帰してやるぞ(ニチャァ」と最初から言っていた事になる。