荀紣について

荀紣ってたぶん「曹操を皇帝にしたい」派の急先鋒。ただし、急先鋒が主流派になるとも限らない。


赤壁に負けた後は「うわまずは曹操さんに従ってる自分の今の地位や財産保全できるようにしないと」って考えたほうが主流派だったんだと思う。


魏公、魏王になるってのは、実は王莽はやってないことで、禅譲を受けて皇帝になるという意味ではプラスとは限らない。むしろ「え?何この人偉そうなこと言って所詮は領土が欲しい俗物?」って世間から思われるというデメリットがあった。これは来たるべき曹氏王朝にとってはむしろマイナス。


まあ董昭なんかもそれはそれで曹氏のことを考えた結果ではあるけれど、それは「天下統一とか禅譲とかよりもとにかく曹氏が簡単に転ばないようにする」っていう守りの姿勢から。荀紣は「曹操様は絶対に生きてるうちに天下統一できる人だから守りの姿勢なんて不要です!」っていう攻めの姿勢。


でも赤壁以降の曹操って慎重、言い換えると基本守りに入ってるから、荀紣との温度差がかなりのものになってたわけだ。


前も言ったけど「本当に忠臣で徳のある人は魏公なんて望みません」っていう反対の言葉を、曹操が漢の次の皇帝になることを否定する言葉と捉えてはいけないと思うんだよね。

だって、アレを曹操の帝位否定とするなら、今まで曹操べったりで時になだめ、時におだて、時に叱ってまで曹操の覇業をサポートしたのに突然「え?魏公?曹操みたいな徳の無いヒトデナシが?ちゃんちゃら笑わせるわwww」って言ったことになってしまう。


変じゃん?つまりその言葉は曹操サポートの一環なんだよ。「魏公にならなければ世間の人は曹操様を忠臣だ、人徳者だと見直しますよ!」っていう。皇帝になるときに反対を減らすには、そういう人徳アピールは不可欠。


荀紣が漢の皇帝を守りたい、漢王朝を継続させたいと本気で願っていたなら、曹操を失敗させるか、どこかで曹操を殺す必要がある。曹操の力で天下統一したら、いやでも曹操が皇帝になるに決まってるからだ。でも曹操を内心殺そうとする荀紣ってのもそれまでの荀紣の言動と矛盾する、だから違う。


陳寿のいう「満たされなかった志」ってのも、「曹操を皇帝にすること」と考えるとつじつま合う。

以上、最近ツイッターにてつぶやいた、みんなから無視されていた荀紣についての考え。
荀紣についての今の自分の考えを思った以上に上手くまとめることができたので、ここに載せておく。