列侯たちの事件簿その3

前漢の時代、皇帝の近親以外の人臣の身で昇りうる最高の地位は列侯である。

しかし、何か罪があれば地位を失うことになるし、そのことが史書に記録されて永遠に晒し者になってしまう。

そんな晒し者の記録を一部見てみようと思う。

  • 轑陽侯江仁

六年、侯仁嗣、永光四年、坐使家丞上書還印符、隨方士、免。
(『漢書』景武昭宣元成功臣表)

正確には罪ではないのかもしれないが。
この江仁は父から継いだ列侯の地位を敢えて捨てて方士になったという。
実は前漢末期近くになると他にも数人こういう列侯位返上者がいた。

  • 蒲侯蘇夷吾

侯夷吾嗣、鴻嘉三年、坐婢自贖為民後略以為婢、免。
(『漢書』景武昭宣元成功臣表)

婢つまり女性奴隷が自分で自分を買い戻し奴婢身分を脱した。
しかしその女性をこの蒲侯蘇夷吾は略奪して再度婢にしたという。
ちょっとストーカー的な物語があったんじゃないかと妄想してしまう。

  • 博成侯張建

五鳳元年、侯建嗣、十二年、建始四年、坐尚陽邑公主與婢姦主旁、數醉罵主、免。
(『漢書』景武昭宣元成功臣表)

公主と結婚していたが、その公主が傍にいるにも関わらず婢と行為に及んだ。
これはどういうプレイだったんだろうか。
これを暴き立てられて史書に残されるというのもかなり高度なプレイだが。