鶏口牛後は鶏口牛後ではない

臣聞鄙諺曰『寧為雞口、無為牛後』今西面交臂而臣事秦、何異於牛後乎?夫以大王之賢、挾彊韓之兵、而有牛後之名、臣竊為大王羞之」
(『史記蘇秦列伝)

いわゆる「鶏口牛後」という言葉。

索隱按、戰國策云「寧為雞尸、不為牛從」。延篤注云「尸、雞中主也。從謂牛子也。言寧為雞中之主、不為牛之從後也」正義、雞口雖小、猶進食。牛後雖大、乃出糞也。
(『史記蘇秦列伝注)

注によれば、『戦国策』では「鶏口」ではなく「鶏尸」、「牛後」ではなく「牛従」となっているのだそうだ。
(『顔氏家訓』でも指摘されている。)
大意は同じだが、文字は全然違ってくる。


それが正しいとすると、「鶏口牛後」は「鶏尸牛従」と書くべきだということになる。
こちらだったら、日本でこれだけ人口に膾炙した言葉にはならなかった気がする。