八世九主

至於陛下八世九主矣(『漢書』翼奉伝、翼奉の上書中)

大したことではないが、この「八世九主」を検証してみる。ちなみにここの「陛下」は漢の元帝

八世=8世代
①高祖劉邦
②文帝
③景帝
武帝
⑤戻太子
⑥悼皇(史皇孫)
⑦宣帝
元帝
世代なので、後継が絶えた恵帝、昭帝は数えず、武帝から宣帝の間に2世代入るのが正しいだろう。

九主=9人の君主
漢で皇帝として即位したのは
①高祖劉邦
②恵帝
③少帝
④少帝弘
⑤文帝
⑥景帝
武帝
⑧昭帝
⑨昌邑王
⑩宣帝
元帝
となり、2人も多いことになる。
となると、最低2人は入らないわけだ。
まず27日で廃位された昌邑王は脱落だろう。
廃位されたということなら、少帝と少帝弘もか・・・
と、少帝2人とも脱落させたら残り8人になってしまう。でもどっちが脱落なんだ・・・
と、ふと見直すと、「九帝」じゃなくて「九主」であることに気づく。そう、君主であるが皇帝ではない人物を数えているかもしれないのだ。
それは誰かと言えば、『史記』『漢書』双方で本紀を立てられている呂后しかない。
おそらく正解は
①高祖劉邦
②恵帝
呂后
④文帝
⑤景帝
武帝
⑦昭帝
⑧宣帝
元帝
なのだろう。

※注において三国時代の人如淳は「呂后為主、不得為世、故八世九主矣」と言っている。これは多分50点。呂后は主だと俺も思うが、呂后を数えないから八世なのではなく、恵帝や昭帝も数えないで武帝から宣帝までの世代数をカウントするから八世なのだと思う。