その７（http://d.hatena.ne.jp/T_S/20180401/1522510600）の続き。
二年春正月、沛郡鐵官冶鐵飛。語在五行志。
夏六月、封舅（王）譚・商・立・根・逢時皆為列侯。
三年春二月丙戌、犍為地震山崩、雍江水、水逆流。
秋八月乙卯晦、日有蝕之。
光祿大夫劉向校中祕書。謁者陳農使、使求遺書於天下。
（『漢書』巻十、成帝紀）
河平２年、３年。
成帝河平二年正月、沛郡鐵官鑄鐵、鐵不下、隆隆如雷聲、又如鼓音、工十三人驚走。音止、還視地、地陷數尺、鑪分為十、一鑪中銷鐵散如流星、皆上去、與征和二年同象。
其夏、帝舅五人封列侯、號五侯。元舅王鳳為大司馬大將軍秉政。
（『漢書』巻二十七上、五行志上）
鋳造途中の溶けた鉄が天へ飛散したという怪奇事件が発生。これは成帝の外戚王氏が権力を持ち栄華を極める事になる予兆なのだというのが『漢書』五行志の解釈である。
そしてその王氏の五人が列侯となった。これを「五侯」と呼ぶ。
王鳳と列侯になった時期が違うのは、彼らは成帝の実母王太后と母が違うためではなかろうか。
迄孝武世、書缺簡脱、禮壞樂崩、聖上喟然而稱曰「朕甚閔焉！」於是建藏書之策、置寫書之官、下及諸子傳説、皆充祕府。至成帝時、以書頗散亡、使謁者陳農求遺書於天下。詔光祿大夫劉向校經傳諸子詩賦、歩兵校尉任宏校兵書、太史令尹咸校數術、侍醫李柱國校方技。毎一書已、向輒條其篇目、撮其指意、録而奏之。會向卒、哀帝復使向子侍中奉車都尉歆卒父業。歆於是總羣書而奏其七略、故有輯略、有六藝略、有諸子略、有詩賦略、有兵書略、有術數略、有方技略。今刪其要、以備篇籍。
（『漢書』巻三十、芸文志）
成帝は当時の学者にして錬金術師だった劉向を中心として世の書物を集めさせた。以前からそういった事は行われていたようだが、散逸を防ぐために改めて責任者を定めて校勘まで含めて実施されたようだ。
この成果が『漢書』芸文志の元になっているということらしい。
