字の秘密

俗説、(袁)元服父字伯楚、為光祿卿、於服中生此子、時年長矣、不孝莫大於無後、故收舉之、君子不隱其過、因以服為字。
(『風俗通』巻二、正失)

後漢の時代、袁元服*1という人物がいた。

その字には彼の父にまつわる噂があった。



父が服喪中に元服が生まれた。
つまり、ありていに言えば服喪中にセクロスしていたということであり、当時の立派な士人としては恥ずかしいことであった。


父はその子を闇に葬ることで自分の体面を保つ事も考えたようだが、「一番の親不孝は後継ぎがいなくなることだ。俺はもう年寄りで後継ぎも他に出来ないかもしれない」と思い、その子を育てることにした。


しかし周囲の君子たちは彼の過ちを隠すことはなく、その子に「元服」つまり「元服中に生まれた子だよ!!」という意味の字を与えたのであった*2



元服は何も悪いことしてないのに晒し者ヒデェ・・・。

*1:先祖は袁安。

*2:このエピソードは冒頭に「俗説」とあるように異説もある。ゴシップの類と思うべきなのだろう。