馬の子か竜の子か

海西公初生皇子、百姓歌云「鳳皇生一雛、天下莫不喜。本言是馬駒、今定成龍子。」其歌甚美、其旨甚微,海西公不男、使左右向龍與内侍接、生子、以為己子。
(『晋書』巻二十八、五行志中)


東晋の皇帝海西公(廃位されて皇帝の諡号が無いためこう呼ばれる)に皇子が生まれた時にこんな歌が流行したそうだ。




鳳凰が雛を生んだ。天下みな喜んでいる。馬の子だと言っていたけれど、生まれてみたら竜の子であった」




これは一見するとただ皇子誕生を祝っているように見えるが、実はそうではないという。





本当は海西公は「男」になれない体質のため、近臣の向竜という人物に宮女と子作りさせ、それで生まれた子を自分の子とした、というのである。




すなわち、「馬駒=司馬氏の子」ではなくて本当は「竜子=向竜の子」ですよ、という秘密暴露の歌であった、ということだ。






この手の話は割とよくあることなんだと思わされる。



あと、「不男」がどうやら「男性機能がアカン」を意味するらしいのがなかなかストレートで気に入った。