虎六

後漢書「酷吏樊曄為天水郡守、涼州為之歌曰『寧見乳虎穴、不入冀府寺。』」
而江南書本「穴」皆誤作「六」。學士因循、迷而不寤。
夫虎豹穴居、事之較者。所以班超云「不探虎穴、安得虎子?」寧當論其六七耶?
(『顔氏家訓』書証)

南北朝時代の江南に伝わる『後漢書』では、「虎穴」が「虎六」になっていた、という話。


後に正史と呼ばれるような史書であっても、しかも成立から何百年と経った訳ではない比較的新しい書であっても、伝わる字句が伝写の誤りや欠落、時には意図的な改変によって変わってしまうこともあるのだ。