羽檄

上令周昌選趙壯士可令將者、白見四人。上嫚罵曰「豎子能為將乎!」四人慙、皆伏地。上封各千戸、以為將。左右諫曰「從入蜀漢、伐楚、賞未徧行、今封此、何功?」上曰「非汝所知。陳豨反、趙代地皆豨有。吾以羽檄徴天下兵、未有至者、今計唯獨邯鄲中兵耳。吾何愛四千戸、不以慰趙子弟!」皆曰「善。」
【注】
師古曰「檄者、以木簡為書、長尺二寸、用徴召也。其有急事、則加以鳥羽插之、示速疾也。魏武奏事云今邊有警、輒露檄插羽。檄音胡歴反。」
(『漢書』巻一下、高帝紀下、高祖十年九月)

漢の高祖は趙・代の反乱者陳豨討伐の際にこんなことを言っている。



「ワシが「羽檄」で天下の兵を招集したが邯鄲の兵だけがやってこない」




この「羽檄」というのは、文書の形式の一つであるらしく、密封せずに文面をあらわにし、鳥の羽根を付けて「至急」であることを示して人を召し出したり兵を招集したりするときに使うのだそうだ。



秦代から使われていたと思われる。






侵略や反乱に対応する時のように一刻も早く兵を集めなければいけない場合、至急文書であることを示すと同時に、文面を敢えて明らかにしておくことで多くの人の目に触れるようにし、情報伝達や文書事務にかかる時間を少しでも減らそうという意図があるのだろう。




この「羽檄」は漢代以降でも辺境での異民族の侵略を知らせる時や、何者かが挙兵した時などに急を告げて応戦や同調を求める際に使われている。