『漢書』韋玄成伝その5

http://d.hatena.ne.jp/T_S/20110611/1307766199の続き。

議者又以為清廟之詩言交神之禮無不清靜、今衣冠出游、有車騎之衆、風雨之氣、非所謂清靜也。「祭不欲數。數則瀆,瀆則不敬。」宜復古禮、四時祭於廟、諸寢園日月間祀皆可勿復修。上亦不改也。
明年、玄成復言「古者制禮、別尊卑貴賤、國君之母非適不得配食、則薦於寢、身沒而已。陛下躬至孝、承天心、建祖宗、定迭毀、序昭穆、大禮既定、孝文太后・孝昭太后寢祠園宜如禮勿復修。」奏可。


ある者は建議した。
「清廟の詩によれば祖先の神霊に交わる礼は清浄でないということが無いといいます。しかし今の廟内の衣冠御開帳は人々や車騎、雨風に晒されることになるので、清浄とは言えません。「祭祀はあまり数を多くしようとはしない。多ければ穢れる。穢れれば不敬である」と言います。古の礼のように折々に廟で祭祀を執り行うだけにして、陵墓や正殿での定期的な祭祀を廃止するべきです」
元帝はそれを改めなかった。

翌年、韋玄成は上奏した。
「古の礼では尊卑・貴賤を区別していました。国の君主の母であっても嫡妻でなければ祀られないものだったのです。陛下は孝行を実践し天の御心を受けて廟制を正しました。孝文太后・孝昭太后の陵墓、正殿についても廃止するべきです」
元帝はそれを裁可した。


元帝は変えなかったこともあったということ。
その一方で、韋玄成はこれを機に「嫡妻ではない皇帝の生母」の扱いについても改革した。
「皇帝の母であっても嫡妻じゃなかったらダメだよー」ということである。
母が皇后だった元帝には直接のダメージがないことではあるが、なかなか大胆である。