好きな漫画紹介2


『いつでも夢を』原秀則


原秀則氏といえばそれなりに有名な作品がいくつかありますが、個人的にはこれが最高傑作です。
あと、『まんが道』並だとは言いませんが、「漫画家が挫折を経て成長していくマンガ」の中でも出色の出来だと思います。


主人公は漫画描くのが趣味なだけの冴えない高校生ですが、応募した漫画のコンクールで入選し、それほど真剣な気持ちでもないままに漫画家への道を歩み出す。
そこでアシスタント業、そこでの先輩や先生からのイビリや指導を受けていく。

次第に慣れていく中、アシスタントに入った同年代の女の子が自分よりもずっと上手であっという間にプロデビューしたり、最初はダメダメだった後輩が自分を追い越していったり、といった辛い目にも遭いつつ、主人公は下積みを続ける。

自分の才能を理解してくれる編集者に出会い、漫画家としての成功へのステップを登りはじめた主人公だったが、そこで待っていたのは「漫画を取るか、それ以外を取るか」という辛い選択と、その後に味わうこととなった漫画家の「業」であった。


最終巻の展開はなかなかにヘビー。
主人公のやったことは人として、男としてはあまり誉められたものではないんだろうけど、漫画家としては正しかった。
「自分にとって大事なモノを取るか、それとも恋人や家族を取るか」みたいな選択を突きつけられた人や、学業やら仕事やらに打ち込んで人並みの幸せを捨てようと考えた人には、重く感じるんじゃないでしょうか。(自分はそんな経験ないですが)


あとちょっとしたネタバレ。
最終ページの後日談っぽいシーンが最終巻(6巻)の表紙に描かれています。
あの二人はどうやら幸せになれそうで何より。