正閏論

漢高祖皇帝、著紀、伐秦繼周。木生火、故為火紱。天下號曰漢。
(『漢書』律暦志下)

後漢の人班固が『漢書』で表明するところによれば、漢は「秦を伐って周を継ぎ」、五行説によれば木徳から火徳が生じるため、木徳の周の次の正統王朝なのだという。

周を滅ぼした秦、ごく一時期とはいえ天下を手中にした楚(義帝と項羽)はこの正統論上では存在を軽やかにスルーされている。

漢以後の歴代王朝の五行説に基づく正統論においては、漢を赤徳とするのがスタンダードとなっており、秦・楚はスルーするのが定着したようである。