又有善相墓者、言(羊)祜祖墓所有帝王氣、若鑿之則無後、祜遂鑿之。相者見曰「猶出折臂三公」、而祜竟墮馬折臂、位至公而無子。
(『晋書』巻三十四、羊祜伝)
晋の羊祜の父祖の墓を、墓の相を見るという者が見たことがあったという。
その者によれば、「この墓には帝王の気がありますが、ここに穴を空けてしまうと後継者が途絶えてしまいます」とのことであった。
その墓の相を見る者は今度はこう言った。
「腕を骨折しますが三公になるという相です」
そして羊祜は骨折し、それから公に至ったということであった。
人相や馬の相などを見る者の存在は知っていたが、墓の相もあったのか・・・。
あと、羊祜が墓に穴を空けたというのは「わざと」なんだろうなあ。
「天子の気」の類が皇帝以外に見えたなどと言われたら皇帝はそれを消しにかかる*1のが普通なので、羊祜としては自分に野心が無い事を示すためにも、一族の繁栄のためにも、「帝王の気」を自ら潰しておかないといけなかったのではないかと思う。
羊祜といえば荊州で異様なまでに民心を得ていたとされているので、何か少しでも嫌疑がかけられたら間違いなく皇帝に危険視され破滅するだろう。
民に慕われる臣下というのは皇帝にとってはいつ自分に取って代わろうと反乱するか、民に担がれるか分からない存在ということなのだ。
だから、自分から「帝王の気」を消すことで晋に対する野心が無い事を見せなければいけなかったのだ。