デキるビジネスマンのための中国古典その1

唐突だが、デキるビジネスマンは歴史上の色々なエピソードや教えを参考にしていくものであろう。


もちろん、中国の古典もそんなビジネスマン向けの話がたくさんある。

というわけで、これから何度かそういった話を紹介していこうと思う。




孝昭上官皇后。祖父桀、隴西上邽人也。少時為羽林期門郎、從武帝上甘泉、天大風、車不得行、解蓋授桀。桀奉蓋、雖風常屬車、雨下、蓋輒御。上奇其材力、遷未央廏令。
上嘗體不安、及愈、見馬、馬多瘦、上大怒「令以我不復見馬邪!」欲下吏、桀頓首曰「臣聞聖體不安、日夜憂懼、意誠不在馬。」言未卒、泣數行下。上以為忠、由是親近、為侍中、稍遷至太僕。
(『漢書』巻九十七上、外戚伝上、孝昭上官皇后)


漢の昭帝の皇后だった上官皇后の祖父は上官桀といい、風雨の中でも武帝の馬車の天蓋を持ち続けたという膂力が武帝の目に留まって皇帝の厩番に任命された。



その後、既に高齢の武帝は病気となったが回復した。

そこで武帝が自分の馬を見たところ、馬たちは痩せ衰えていたという。
明らかに厩番の世話が行き届いていない。


武帝は上官桀に対し「もうワシが馬を見ることなどないと思って世話を怠ったのであろう!」と激怒して罰を与えようとしたところ、上官桀は言った。


「私めは陛下が御病気と聞いて、毎日不安でたまらず、馬の世話どころではなかったのです」

そして言い終わらない内から目から涙があふれてきた。



彼を忠義者と思った武帝は彼を罰するどころか側近中の側近である侍中に任命したのだった。





デキるビジネスマンならたまにはついつい仕事をサボってしまい、しかもそれが上司にバレてしまうという窮地に立つことがあるものだ。

そんなときには、この上官桀のようにおべっかと演技力、そしてそれを可能にする機転があれば窮地をチャンスに変えることさえできる。


見習いたいものだ。