小さすぎる夢

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曹操は「自分の墓に「かつての征西将軍の墓」と書かれることを夢見て居た」とうそぶいたそうな。



しかし、彼はその話の時点でほぼ最速で孝廉となり、黄巾の乱で功があり、父は三公を経験したという人物である。



このまま大混乱の時代とならなければ、そこまで時間もかけずに征西将軍になれていたのではないか?



そして、ある程度実績があれば、いずれもっと上位の将軍になれるか、あるいは三公などに栄転するのではないだろうか?コネと財力が大事な出世街道において、宦官の祖父や三公の父が培った財と人脈がいずれモノを言うだろう。





つまり、あの時点の曹操が墓に「征西将軍」と書かれる、言い換えると最終官位が征西将軍となるということは、それ以上に出世できなかったということである。


征西将軍で失態を演じて処刑または左遷されたか、あるいは就任してほどなく死去したということになるだろう。


もしかして、これは例えば成績抜群でコネもある国家公務員のキャリアとなった者が「最後にはどこかの自治体の副知事になってその県のために働きたい」と夢見るようなもので、彼の閲歴からすると不自然に見えるのではないだろうか?


あるいは、ドラフト1位となった大卒投手が指名時に「現役のうちに一度は一軍マウンドで投げてみたいです」と抱負を述べるとか。とにかく、当時の彼自身の状況からすると、実は少々望みが低いのではないか?




本心でないというなら謙虚が過ぎて露骨ということだし、本心だったなら自身について過小評価だったという感じではないか?