糸の切れた凧

(鍾)會内有異志、因鄧艾承制專事、密白艾有反狀、於是詔書檻車徴艾。
【注】
世語曰、會善效人書、於劍閣要艾章表白事、皆易其言、令辭指悖傲、多自矜伐。又毀文王報書、手作以疑之也。
(『三国志』巻二十八、鍾会伝)


昨日の話では、この小畜生のほか、胡烈や鄧艾の司馬師纂までもが鄧艾の蜀における問題行動を指摘したことになる。


また、上記の話をよく見ると、小畜生は「鄧艾の独断専行によって」彼の言辞を改竄したとあるが、独断専行自体が架空であるとは読みにくい内容になっている。独断専行をでっち上げたのではなく、実際にあった独断専行にまつわる文言をでっち上げたのである。



つまり鄧艾は蜀において独断専行を実際に行っていて、近い部下からも問題視する者が出るようなものがあったことは認めるしかないという事になるだろう。




だとすれば、仮に真心から忠誠心があって司馬氏のための行動だったのだとしても、司馬氏のコントロールを外れて行動しはじめていたとしか言いようがないのであり、これは死後も長いこと名誉回復すらしていないのも仕方ないところだろう。


これを簡単に認めてしまうと、同種の独断専行をやりたがる輩がまた出てきてしまうからだ。そして次は忠誠心があるヤツとは限らない。