周宣の心理学と文帝の心理

文帝問(周)宣曰「吾夢殿屋両瓦墮地、化為雙鴛鴦、此何謂也?」宣對曰「後宮當有暴死者。」帝曰「吾詐卿耳!」宣對曰「夫夢者意耳、苟以形言、便占吉凶。」言未畢、而黄門令奏宮人相殺。無幾、帝復問曰「我昨夜夢青氣自地屬天。」宣對曰「天下當有貴女子寃死。」是時、帝已遣使賜甄后璽書、聞宣言而悔之、遣人追使者不及。
(『三国志』巻二十九、方技伝、周宣)

夢占いの達人周宣は魏の文帝曹丕から質問を受けた。



「俺は宮殿の瓦が二つ落下したと思ったらオシドリに変化するというゆめを見たのだが、これはどういう意味だ?」



周宣は「後宮に急死する者が現れます」と答えた。



それに対して「これはお前を騙しただけだ。そんな夢は見ていないぞ」と応じる曹丕。自分のキャラをよくわきまえている。



周宣はそれに「夢というのは意志なのです。仮にも頭の中からその内容が出てきたのであれば、それによって占う事ができるのです」と、心理学めいたことを言う。



そうしたところに実際に後宮で死者が出たという報告が出た、というオチ。





ところで、この後の話からすると、この時に曹丕は自分の側室の一人甄氏(烈祖様の実母)に死を賜う使者を送っていた時期だったらしい。まあ、最初の話の時点ではその使者を送ってなかった可能性もあるが、そのつもりではいただろうとは思われる。



ということは、「後宮で急死する人が現れる」という占いに対し、曹丕は真っ先に「じきに(自分の命令で)急死する予定の側室」のことを思い浮かべたのではなかろうか。




もしかすると後宮内の機密事項を言い当てられて内心物凄く焦っていたのかもしれない。