『三国志』武帝紀を読んでみよう:その16

その15(https://t-s.hatenablog.com/entry/2019/12/18/000100)の続き。





三年春正月、公還許。初置軍師祭酒。
三月、公圍張繡於穰。
夏五月、劉表遣兵救繡、以絶軍後。公將引還、繡兵來追、公軍不得進、連營稍前。公與荀彧書曰「賊來追吾、雖日行數里、吾策之、到安衆、破繡必矣。」到安衆、繡與表兵合守險、公軍前後受敵。公乃夜鑿險為地道、悉過輜重、設奇兵。會明、賊謂公為遁也、悉軍來追。乃縱奇兵歩騎夾攻、大破之。
(『三国志』巻一、武帝紀)


魏武と張繍の戦いは続く。


太祖比征之、一朝引軍退、(張)繡自追之。(賈)詡謂繡曰「不可追也、追必敗。」繡不從、進兵交戰、大敗而還。詡謂繡曰「促更追之、更戰必勝。」繡謝曰、「不用公言、以至於此。今已敗、奈何復追?」詡曰「兵勢有變、亟往必利。」繡信之、遂收散卒赴追、大戰、果以勝還。問詡曰「繡以精兵追退軍、而公曰必敗。退以敗卒撃勝兵、而公曰必剋。悉如公言、何其反而皆驗也?」詡曰「此易知耳。將軍雖善用兵、非曹公敵也。軍雖新退、曹公必自斷後。追兵雖精、將既不敵、彼士亦鋭、故知必敗。曹公攻將軍無失策、力未盡而退、必國内有故。已破將軍、必輕軍速進、縱留諸將斷後、諸將雖勇、亦非將軍敵、故雖用敗兵而戰必勝也。」繡乃服。
(『三国志』巻一、武帝紀)

張繍劉表に挟撃された魏武は勝てると荀彧に言い、張繍の元にいた賈詡は追う張繍の勝敗を言い当てた。なんだかどこか似たような話がそれぞれで展開されている。同じ時の事を指しているとは限らないが、逃げた(ように見えた)魏武を張繍が追って負けたというのは状況的に似てはいる。



それにしても負けた後にまた追撃しろという一見不可思議な賈詡の進言に疑問を持ち、その疑問への返事もはっきり解説しているわけでもないのに張繍は信じて追撃している。賈詡を随分信頼しているようだ。



それにしても魏武は戦争に次ぐ戦争である。ろくに休息も取っていないのではないか。