その１２（https://t-s.hatenablog.com/entry/2019/08/25/000100）の続き。
九月、又使天水太守王頎攻（姜）維營、隴西太守牽弘邀其前、金城太守楊欣趣甘松。
鍾會分為二隊、入自斜谷、使李輔圍王含於樂城、又使部將易愷攻蔣斌於漢城。會直指陽安、護軍胡烈攻陷關城。
姜維聞之、引還、王頎追敗維於彊川。維與張翼・廖化合軍守劍閣、鍾會攻之。
（『晋書』巻二、文帝紀）
蜀漢攻め、始まる。
六年、（姜）維表後主「聞鍾會治兵關中、欲規進取、宜並遣張翼・廖化督諸軍分護陽安關口・陰平橋頭以防未然。」（黄）皓徴信鬼巫、謂敵終不自致、啟後主寢其事、而羣臣不知。
及鍾會將向駱谷、鄧艾將入沓中、然後乃遣右車騎廖化詣沓中為維援、左車騎張翼・輔國大將軍董厥等詣陽安關口以為諸圍外助。比至陰平、聞魏將諸葛緒向建威、故住待之。月餘、維為鄧艾所摧、還住陰平。鍾會攻圍漢・樂二城、遣別將進攻關口、蔣舒開城出降、傅僉格鬭而死。會攻樂城不能克、聞關口已下、長驅而前。翼・厥甫至漢壽、維・化亦舍陰平而退、適與翼・厥合、皆退保劍閣以拒會。
（『三国志』巻四十四、姜維伝）
四年秋、乃下詔使鄧艾・諸葛緒各統諸軍三萬餘人、艾趣甘松・沓中連綴維、緒趣武街・橋頭絶維歸路。
（鍾）會統十餘萬衆、分從斜谷・駱谷入。先命牙門將許儀在前治道、會在後行、而橋穿、馬足陷、於是斬儀。儀者、許褚之子、有功王室猶不原貸。諸軍聞之莫不震竦。
蜀令諸圍皆不得戰、退還漢・樂二城守。魏興太守劉欽趣子午谷、諸軍數道平行、至漢中。
蜀監軍王含守樂城、護軍蔣斌守漢城、兵各五千。會使護軍荀愷・前將軍李輔各統萬人、愷圍漢城、輔圍樂城。會徑過、西出陽安口、遣人祭諸葛亮之墓。使護軍胡烈等行前、攻破關城、得庫藏積穀。
姜維自沓中還、至陰平、合集士衆、欲赴關城。未到、聞其已破、退趣白水、與蜀將張翼・廖化等合守劍閣拒會。
（『三国志』巻二十八、鍾会伝）
蜀漢の大将軍姜維は鍾会の動きを察知していたが蜀漢皇帝（後主）の側近黄皓に握りつぶされ、最大の危機への対処が遅れたと記される。
そんなこんなで隴西方面にいた姜維は鄧艾らに破れて敗走して漢中方面を目指すが、姜維を漢中や蜀漢内地に戻れないよう釘付けにする役割だった諸葛緒が失敗（姜維の陽動に引っかかったようだ）して取り逃がしてしまい、姜維は張翼らの諸将と合流。
その間に鍾会は漢中を制圧。
だが姜維は漢中と成都（後主がいる）の間にある剣閣に陣取り、鍾会のそれ以上の侵入を阻止するのだった。
漢中を奪うという目的は達したとも言えるが、姜維を蜀漢本国側と分断する事は出来なかったとも言える。
なお、連勝の司馬氏軍の中で失態を演じた諸葛緒は当初の目的を外れて蜀漢内地へも従軍した挙句、鍾会によって罪人とされて軍を取り上げられた。
