『史記』項羽本紀を読んでみよう:その34

その33(http://d.hatena.ne.jp/T_S/20180923/1537628852)の続き。





當此時、彭越數反梁地、絶楚糧食、項王患之。
為高俎置太公其上、告漢王曰「今不急下、吾烹太公。」漢王曰「吾與項羽倶北面受命懷王曰『約為兄弟』、吾翁即若翁、必欲烹而翁、則幸分我一桮羹。」項王怒、欲殺之。項伯曰「天下事未可知、且為天下者不顧家、雖殺之無益、祇益禍耳。」項王從之。
(『史記』巻七、項羽本紀)

バックから責められて(兵糧が)ほぼ逝きかけてる項羽



そこで人質を使った脅しに出た。




劉邦の父をこれから煮て殺すと劉邦に告げる。



だが、劉邦は「俺とお前は懐王の前で兄弟の盃を受けた同士。俺の父はお前の父も同然ではないか。そのお前の父を煮て食べてしまおうというなら、俺にもそのスープを分けてくれ」と答える。




劉邦項羽が出来ないと見切っていたのか、単に父がどうなってもいいと思っていたのか、内心ドキドキだったのか、そこははっきりしない。ただ、こんな返し方されて本当に煮始めたら、それこそただの快楽殺人犯である。



息子・娘を犠牲にする事も厭わない劉邦相手なのだから、こうまで言った以上はもう劉邦の父に劉邦に対する人質としての価値は無いに等しい。




それでも今後何かの交渉材料などにはなり得るだろうから、これは項伯が言うように煮ないでおく方が賢明だろう。





天下を争う者、天下を治めようとする者は、私親を惜しんで大業を手放したり疎かにしたりはしない。



これは中国の天下人やそれを目指す者について考える上で重要な要素ではないかと思う。