密談

太祖又嘗屏除左右問(賈)詡、詡嘿然不對。太祖曰「與卿言而不答、何也?」詡曰「屬適有所思、故不即對耳。」太祖曰「何思?」詡曰「思袁本初・劉景升父子也。」太祖大笑、於是太子遂定。詡自以非太祖舊臣、而策謀深長、懼見猜疑、闔門自守、退無私交、男女嫁娶、不結高門、天下之論智計者歸之。
文帝即位、以詡為太尉、進爵魏壽郷侯、筯邑三百、并前八百戸。又分邑二百、封小子訪為列侯。
【注】
魏略曰、文帝得詡之對太祖、故即位首登上司。
(『三国志』巻十、賈詡伝)

あの賈詡があの曹操に対して「袁紹劉表の事を考えてました」とだけ言って後継者選びを選ばせた話であるが、これは「屏除左右」つまり人払いした密談によって行ったという。



その時に太子になれた曹丕はこの一件を知り、賈詡に恩を感じたがために彼を魏王朝最初の太尉にしたのだ、という。





この件について、「密談なのに曹丕が知っているのはおかしい」とか思う人もいるようであるし、確かにそう思えなくもない。



だが、曹操と賈詡の話の時点では密談だったのだろうが、曹丕が太子に決まってしまえば少なくとも曹丕を推した意見は秘密にする必要も無くなるだろう。



曹操曹丕に直接、あるいは第三者に伝えていたのだとしても、そこまでおかしくもない。むしろ、十分ありそうな事ではなかろうか。




まあ、そもそも密談が「曹操と賈詡以外が一切聞いていない」とも限らないが。