『漢書』王莽伝を読んでみよう:中その3

その2の続き。


莽策羣司曰「歳星司肅、東嶽太師典致時雨、青煒登平、考景以晷。熒惑司絜、南嶽太傅典致時奧、赤煒頌平、考聲以律。太白司艾、西嶽國師典致時陽、白煒象平、考量以銓。辰星司謀、北嶽國將典致時寒、玄煒和平、考星以漏。月刑元股左、司馬典致武應、考方法矩、主司天文、欽若昊天、敬授民時、力來農事、以豐年穀。日徳元厷右、司徒典致文瑞、考圜合規、主司人道、五教是輔、帥民承上、宣美風俗、五品乃訓。斗平元心中、司空典致物圖、考度以繩、主司地里、平治水土、掌名山川、衆殖鳥獸、蕃茂草木。」
各策命以其職、如典誥之文。
(『漢書』巻九十九中、王莽伝中)


王莽は役人たちに策書を下した。「歳星は厳粛さを司り、東嶽太師が適切な雨をもたらし、青い気が登り、太陽の運行を考察する。
熒惑は賢明さを司り、南嶽太傅が適切な暑さをもたらし、赤い気が緩やかになり、声や音律を考察する。
太白は安らかさを司り、西嶽国師が適切な陽気をもたらし、白い気が形づくられ、枡や錘を考察する。
辰星ははかりごとを司り、北嶽国将が適切な寒さをもたらし、黒い気が調和し、星の運行や漏刻を考察する。
月は刑罰に当たり左にあり、司馬が武に関する天の啓示をもたらし、四角と定規を考察し、天文を司り、天を敬い、民に暦を授け、農作業に努めさせて豊作をもたらす。
太陽は徳に当たり右にあり、司徒が文に関する天の啓示をもたらし、円とコンパスを考察し、人の道を司り、父の義、母の慈しみ、兄の親愛、弟の恭しさ、子の孝行という五つの教えを助け、君主の意を受けて民を指導し、良い風俗を広め、仁義礼知信の五常を教える。
北斗星は公平さに当たり中央にあり、司空が啓示の文書や絵図をもたらし、秤と縄を考察し、地理を司り、治水や土木工事を治め、山や川の名前を掌握し、鳥獣や草木を増やす。」



おのおの、経典の命令書(誥)のような形式の策書によって職について命じた。



なんだか正直言ってよくわからないような文であるが、とにかく四輔や三公についての職務を示したものであるようだ。



とにかくそれぞれを対にしてキッチリ当てはめて行かないといけない、的な縛りを課しているかのような感じがとても王莽らしい。