甄氏は自害に際して、李夫人に曹叡を託したという(魏略)。この李夫人って、曹丕の寵姫で長男(らしい)曹協を生んだ李貴人なんだろうか。
— dara3 (@daradara3594) 2014, 11月 7
おっ?と思ったツイート。
魏略曰、明帝既嗣立、追痛甄后之薨、故太后以憂暴崩。甄后臨沒、以帝屬李夫人。及太后崩、夫人乃説甄后見譖之禍、不獲大斂、被髮覆面、帝哀恨流涕、命殯葬太后、皆如甄后故事。
(『三国志』巻五、文徳郭皇后伝注引『魏略』)
魏の明帝曹叡様の母である甄氏は曹丕によって死を賜ったが、その際に息子を李夫人に託したのだという。
託するということは、息子を守ってほしいと頼んだということであろう。
文皇帝九男。甄氏皇后生明帝。李貴人生贊哀王協。潘淑媛生北海悼王蕤。朱淑媛生東武陽懐王鑒。仇昭儀生東海定王霖。徐姫生元城哀王禮。蘇姫生邯鄲懷王邕。張姫生清河悼王貢。宋姫生廣平哀王儼。
(『三国志』巻二十、武文世王公伝)
黄初元年十月、帝踐阼。踐阼之後、山陽公奉二女以嬪于魏、郭后・李・陰貴人並愛幸、后愈失意、有怨言。
(『三国志』巻五、文昭甄皇后伝)
李夫人とは曹丕の寵姫の一人で、曹丕の子の曹協を産んだ李貴人のことだと思われる。
彼女に託すというのは、曹叡自身の命も狙うことになるかもしれない郭氏(のちの郭皇后)と曹丕から守ってくれということである。
だが寵姫の一人でしかないはずの李夫人になぜそこまで期待できるのか?
曹丕から守ってくれとは理不尽に困難なミッションではないか。李夫人だけに。
それはきっと曹協を産んでいるからなのだろう。
曹協と曹叡の兄弟順は分からないが、ともかく曹叡継承の目が消えた今、既にそれなりに成長していた曹協が後継者になる可能性が最も高かったのだと思われる。
つまりは、甄氏亡き後皇后になりそうな郭氏の最大のライバルはこの李夫人なのだ。
曹丕の皇太子候補ナンバーワンの生母。すなわち、皇后候補である。
郭氏や曹丕にモノを言えそうな寵姫は彼女しかいなかったのではなかろうか。
郭氏(と曹丕)に対抗するため、郭氏と対立関係になるであろう李氏に、これまで寵を争ったわだかまりを捨てて敢えて息子を頼む。
そんなドラマがあった・・・のかもしれない。