軍正の権能

於是當選士馬日、監御史與護軍諸校列坐堂皇上、(胡)建從走卒趨至堂皇下拜謁、因上堂皇、走卒皆上、建指監御史曰「取彼。」走卒前曳下堂皇。建曰「斬之。」遂斬御史。
護軍諸校皆愕驚、不知所以。
建亦已有成奏在其懐中、遂上奏曰「臣聞軍法、立武以威衆、誅惡以禁邪。今監御史公穿軍垣以求賈利、 私買賣以與士市、不立剛毅之心、勇猛之節、亡以帥先士大夫、尤失理不公。用文吏議、不至重法。黄帝李法曰『壁壘已定、穿窬不繇路、是謂姦人、姦人者殺。』臣謹按軍法曰『正亡屬將軍、將軍有罪以聞、二千石以下行法焉。』丞於用法疑、執事不諉上、臣謹以斬、昧死以聞。」
【注】
師古曰「言軍正不屬將軍。將軍有罪過、得表奏之。」
(『漢書』巻六十七、胡建伝)

漢の武帝の頃の胡建という人物は軍正丞という官であった。




あるとき、自分の属する軍の監御史が北軍の土塁を破壊して商売をさせるという不正を行っていることを知った胡建は、いきなりその監御史を誅殺してしまい、それから上奏したという。



それによれば、「軍法では『軍正は将軍には属さず、将軍の罪過は上に報告し、将軍以外の二千石以下に対しては法を執行する』となっていますのでヤツは殺しました。でも副官(丞)なのに独断でやっちゃったので自分も処断されるのを覚悟してます」なのだそうだ(ちなみに許された)。






なんか軍正って凄い権能のような気がするんだけど。


将軍の下の隊長クラスの罪は独断で処分し、将軍についても監視して何かあればすぐ報告する。




これはお飾りではない本格的な「お目付け役」なのかもなあ。

制度上で期待されている役目としては。